建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

7-1 高力ボルトの遅れ破壊について

かつてF11TとF13Tに遅れ破壊が集中的に起きた理由について教えて下さい。

▲質問一覧に戻る


A

F13Tは、1964年に高力ボルトのJIS規格が制定されてすぐに遅れ破壊が発生し、しばらくして製造中止となりました。なお、F13Tは、建築では使われておらず、いずれも橋梁の部材接合部で発生しています。F11Tは、その後も使用されておりましたが、1975年頃から遅れ破壊が多数発生しました。その後の研究(日本鋼構造協会の調査・研究)で引張り強さが125kgf/mm2以上のボルトでの遅れ破壊発生の可能性が高いことが証明され、1981年以降製造は中止されました。

遅れ破壊の原因は、空気中の遊離の水素(拡散性水素)が鋼材中の微少な空隙に入り込み、その圧力が高くなることで締め付け後、数年経ってボルトの破壊が発生するもので、水素脆化によるものです。鋼材の強度レベルの他にもねじの切れ上がり部分の形状による応力集中も関係したと考えられます。

その後、ねじの切れ上がり部の形状も改良され、強度レベルも引張り強さが125kgf/mm2以下であるF10TやF8Tのみが生産されたため、遅れ破壊は生じていません。

なお、現在F14Tの高力ボルトが使用されていますが、このボルトではボルトの材質がF11T以下のボルトとは異ったものを使用しており、拡散性水素が鋼材中に残留する量に関してその上限を超える拡散性水素の受容許容値が保証されているため、遅れ破壊は生じません。F11T、F13Tではその許容値が低く、高強度にすると遅れ破壊を防止できません。

▲質問一覧に戻る