建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

4-8 角形鋼管R部分の溶接

鉄骨造では冷間成形コラムが多用されており、それに対するロボットも数種類販売されていますが、当社では設置していません。そのためコラムのR部の溶接にいつも苦労しています。日本建築センターの冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアルには、R部の溶接方法についていくつか例が載っていますが、R部の溶接方法で施工上行ってはならない方法、また、この方法が良いと思われるものがありましたら教えてください。

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A

角形鋼管を使用して柱を製作する時に常に問題となるのが、このR部分の溶接方法です。角形鋼管が販売され出してから20年以上の歳月が経っていますが、現在でもこの方法がベストと言い切れるものは出ておらず、大きな鉄工所では人的な作業はあきらめてロボットに任せているのが現状です。しかし小さな鉄工所では設備投資もままならず、手探りの状態で施工を行っています。図−1に掲載されている3方法は、その中でも多くの鉄工所で採用されているものですが、これとて完璧なものでなく、多くの問題が内在しています。

図1
図1

1. 図1における問題点

Aの場合、まずイ)のように8個のセラミックタブを用いて下向き姿勢(F)で溶接を行い、タブをはずしてから、ロ)のように45°回転し必要に応じガウジングを行い、ハ)のように下向姿勢(F)でR部を施工します。この方法の問題点を列記すると、

  • コラムサイズが小さい場合にはガウジング・溶接が困難です。
  • ハ)のイの部分がショートビードになる時があります。
  • クレーターが一番大事なR部分にきてしまい、補整するのが大変難しいです。
Bの場合はイ)のようにR部の先溶接を4箇所とも行います。溶接姿勢は横向(H)となり、ロ)のようにガウジングで平滑にしたのち、ハ)のように下向姿勢(F)で4辺を溶接します。この場合の問題点を列記すると、
  • サイコロを溶接する場合はこれでも良いですが、大組立終了後のシャフトとサイコロの溶接は不可能です。
  • シャフトとサイコロの溶接はこの方法で施工が出来ず、Aの方法を採用すると、ダイヤフラムをはさんで溶接姿勢が違うので外観上格好が良くないです。
Cの場合、イ)のようにセラミックタブを4隅に挿入し、はじめにイ部分を下向姿勢(F)で溶接します。ロ)のようにセラミックタブを外してロ部分を溶接します。この場合の問題点は、
  • R部分をガウジングせずに溶接するので、後に述べるある種のテクニックが必要です。
  • R部のトップで溶接継ぎを行うので対超音波検査対策が必要です。
  • R部のトップで溶接の始端と終端が重なるので、ディスクサンダーなどを使用して外観を整える補整が必要です。

2. 現在の施工要領

現在は、下記の施工方法を採用しています。

2-1 板厚が16mm以下の場合
図2のように、Cの方法と同様ですがタブのつけ方と溶接方法を改良しました。これは、サイコロの場合とシャフトをつける場合も一緒です。タブを対角線上に沿ってつけ、R部を平坦部分と、同じ高さになるように先溶接をしてから、本溶接を行います。溶接は、4面ともすべて下向き姿勢(F)で行います。

現在は、下記の施工方法を採用しています。

図2
図2

2-2 板厚が16mmを超える場合
まずサイコロを仮組みし、図3のようにタブを8枚用意して、平坦な部分を下向溶接で行います。パス間温度を維持するため、4層おきぐらいに上下溶接箇所を変え、8箇所とも終了させて、出来れば、その部分のUTも済ませておきます。タブの角度(図では15°)は、後にR部を溶接するときに、回転治具が使用できるときは下向き溶接で、使用できないときは立向溶接(V)で施工するので、それを考えに入れて適宜な角度で取り付けておきます。立向溶接で施工する際の電流・電圧は下表を参考にしてください。

次にブラケットを取り付け、溶接・検査終了後大組立を行います。サイコロとシャフトの溶接も、平坦部を先に行います。最後に図4のようにダイヤフラムを挟んだ両方のR部を、下向き、または、立向姿勢で溶接を行います。サイコロ部分とシャフト部分の板厚が違うときは、外径に違いがあるので、余盛を揃えておくと、良いと思います。

図3
図3
表1

3. 溶接の際の注意事項

  • R部よりクレーターを逃すため、いずれの場合でも、上部平坦部分まで棒を運び、クレーター処理溶接を行います。
  • 角形鋼管のR部分は平坦部より強度が増していますので、素材が490N/mm2級ならば、使用する溶接ワイヤは、YGW−18としてください。
  • D、Eの方法ともガウジングを使用しませんので、組立前に開先形状を確認し、不都合がある場合には補正してから施工してください。とくにR部では図5のようにルートフェースが残っている場合がよく見受けられます。サンダーで仕上げてから組立てる必要があります。
  • R部には余計な熱を入れたくありません。そのため、再溶接するような事態は避けねばなりません。
電流、電圧、運棒など基本に忠実な施工を心掛けてください。

図4
図4
図5
図5

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