建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

3-5 斜めに取り付く部材の隅肉溶接

斜めに取り付く柱梁フランジとウエブ隅肉溶接についてお聞きします。垂直な隅肉溶接の場合は、図のように、隅肉溶接サイズ(脚長および、のど厚)は設計寸法を下回らない。脚長Sはt1、t2の薄い板厚の0.7t以上を社内規準として溶接を行っています。部材が垂直ではなく、ある角度を持って斜めに取り付く場合には、その脚長、のど厚はどのように設定すれば良いのか、設定方法(測定方法)を教えてください。

図A

▲質問一覧に戻る


A

柱や梁が斜めに取付くケースは、図1のように斜線制限により柱がセットバックする場合や、図2のように柱配置がプラン上から十字型柱やT字型柱が不整形な断面となる場合があります。いずれも、斜めに取付く隅肉溶接は、同じ考え方で対処できる。ここでは梁について説明します。

図1のように直交する大梁は、概ね図3(a)のようにビルトアップH型断面(以下、BH)ではフランジプレートとウェブプレートの組合せとなります。 設計図では、フランジとウェブの隅肉溶接については直角に交差する場合の隅肉サイズの指定しかないのが一般的です。斜めに取付く梁のウェブの加工は図4が標準的に考えられるT継手です。 BHの加工では、直角に交差する場合、梁のウェブプレートの寸法は、梁成からフランジプレートの板厚の2倍を引いた寸法となります。斜めに取付く場合は、図3(a)に示すd1寸法を現寸で求めて切板寸法とします。図4(b)のような形状とするには、d1寸法で切断し、さらに斜めに取付く角度分のベベル加工とします。

通常使用するBHでは、ウェブの板厚が9mm位の加工が多く、成が小さいと両側の開先加工によるウェブプレート全体の大曲がりや長さ方向に波状の変形し、次工程の組立てに影響します。 この交差角度の小さい場合の隅肉溶接については、鋼構造設計規準16章溶接「16.3溶接継目の形式」の規定の一部に「接合しようとする母材の間の角度が60°以下又は120度以上である場合における隅肉溶接には、応力を負担させてはならない。ただし、鋼管の分岐継手の場合は、前記の角度を30°以下又は150°以上とすることができる」と記述され、隅肉溶接では認められていないことに対する対策でもあります。

なお、溶接後の寸法測定の方法は、(1)組立て時のけがき線から「逃げズミ」を書いたり、(2)フランジ縁側からの寸法を基準にしたり、(4)ビード幅を現寸で求め、限界ゲージ的なものを製作の上、測定する等の方法があります。のど厚測定については、よい測定方法がありませんが、溶接施工時にできる限り凸型ビードを置く等の対策が必要です。

念のため、測定要領を図5に示しました。脚長は、逃げ寸法から各隅肉溶接の止端部までのl寸法を測定して、差を求める方法です。入隅側のビード幅(W)寸法を限界ゲージを作って測定します。出隅側の余盛を含めた、のど厚寸法(a)は、溶接ゲージで測定可能です。いずれにしても、逃げズミ寸法の精度しだいで脚長が決まるので、精度よく、けがく必要があります。

図1
図1
図2
図2
図3
図3
図4
図4
図5
図5

参考文献:建築技術者の鉄骨Q&A 2集

▲質問一覧に戻る