建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

3-43 生産性低下を来す設計変更を減らすには

鉄骨技術フォーラム2017にて、「設計変更」について問題提議があり、対応方法を下記の ように解説しています。

―記―

(質問) 鉄骨加工中の変更発生は、図面・製作共に納期に直接影響を与えており問題と思われる。

(回答) ①変更内容の指示書を貰い、その内容による手戻りの程度を把握する。

②対応する場合の工事費の把握と説明資料を作成する。

③工作図の修正と必要な材料の手当てに要する期間を把握する。

④変更が後期に及ぼす影響を把握し資料を作成する。

⑤変更内容によっては、対応策検討・調整・資料作成等の対応期間も考慮する。

⑥以上の内容をまとめ、関係者と協議し合意して加工にとりかかる。

大規模な設計変更の際は、ご回答に準じて会社組織を活用しながら対処に当たりますが、最も困っている実態は、軽微な変更(設計ミスや決定遅延)が毎日のように発生し、作図工程が製作工程に間に合わない状況に陥る事であると思います。

設計者・施工者にも事情があると思いますが、建設業界として抜本的な対策或いは、あるべき姿が示されないものかと常々感じています。

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A

「生産性の低下」の原因となる「軽微な変更」の要因として、質問者は①設計ミスと②決定遅延を挙げておられます。その内、②については3-34項の回答で下記のように解説していますので、参考にして下さい。

「工作図の図面承認が得られない理由を調べてみると、設計者(デザイナー)、建築主が意思決定しないことに起因する場合が少なくありません。鉄骨工事に不慣れな建築主・デザイナーの場合、鉄骨製作工程についての知識が乏しく、どの時点を過ぎると設計変更が困難になるか等についての認識が欠如している場合があります。従って、これらの調整役となる工事監理者の役割は特に重要です。場合によっては、積極的に工場検査等に建築主・デザイナーの同行をお願いする等、鉄骨工事の工程に関する理解を深めてもらう努力も必要です。」

一方、①設計ミスについては、中々対策は容易ではありません。設計者、施工者、ファブリケータ等の立場によらず、例えばどんなに優秀な技術者でも、ミスを犯してしまうのが人間です。設計ミスを犯した際、さらにまずいのはミスの内容を隠蔽し発覚が遅れ、対応が後手に回ることです。そのような事態を避けるためには、 精神論と言われるかもしれませんが、設計者もファブリケータも立場は異なるとしても、建築主の望む建物を完成させるという共通の目的を共有する対等な技術者同士です。原点に立ち返り、コミュニケーションを密にし、何か不都合が起こった際には、協力して、できる限り迅速にカバーできる関係を日頃から構築しておくことが重要と思います。

軽微な設計変更、設計ミス等による「工程の遅れ」、「生産性の低下」について、設計者・施工管理者側がどの程度深刻な事態として受け止めているか、心配な所もあります。結果として、完成建物の品質に影響を及ぼしているとしたら大きな問題です。このような事態が常態化しているというのであれば、SASSTに調査研究事業担当部門を立ち上げ、現場からの意見等を集約し、提言等にまとめ関係者に発信することも考えて良いと思います。

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