建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

3-35 摩擦接合面の黒さびについて知りたい

黒さびの発生メカニズムや化学組成、すべり係数等を教えて下さい。また、実工事に使用して問題ないでしょうか。

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A

鋼材は常温下で水と酸素が存在すると腐食し(湿食という)、水と酸素の量によってさまざまな組成のさびとなります。化学変化の過程で数種類の酸化鉄ができ、その過程で水分、酸素の供給が十分であると赤さびとなり腐食が進行します。変化の過程を下の式に示します(引用文献1)。(5)式で生成するFe2O3が赤さびと呼ばれます。赤さびが発生したあと、あるいはその変化の過程で酸素の供給が不十分だと黒さび(Fe3O4)に変化します。

例えば、赤さび状態の母材摩擦面にスプライスプレートを密着して取り付けた場合や黒皮を除去した鋼材を積み重ねておいた場合などです。なお、鋼材の熱間圧延時の鋼材表面に黒皮(ミルスケール)が出来るのは乾食といわれる現象の一例で、高温状態で生じる腐食です。文献2には黒さびを対象としたいくつかのすべり試験結果が紹介されていますが、いずれも0.5を超える結果が得られています。また、過大孔を用いた実験でもすべり耐力、すべり係数とも問題は無いとの結論が報告されています(文献3)。

過去にこのような結果が得られていますので、文献4では「黒さび発生面は一般に支障がないと考えてよい。」、文献5では「一度赤さびが発生したスプライスプレートを部材の接合面に重ねておくとしばらくして面が黒変することがあるが、この場合、通常は所定のすべり係数は得られるものと考えてよい。」としています。

もし黒さびを避け赤さびとする必要がある場合は、重ねた鋼板の間に番線や割り箸をはさみ酸素を供給すれば可能です。ただその状態で長時間放置すると赤さびが更に進行し浮きさびが増えます。あまり浮きさびが多いとすべり係数に悪影響を与える可能性がありますのでその浮きさびを軽く除去することが必要となります。

一般的なさびの生成反応

黒さびでも問題は無いが、赤さびとしたい場合は、この写真のように鋼板の間に隙間を設けるとよい。
この写真では割り箸を挟んでいます。

<引用・参考文献>

1.  重防食塗装 日本鋼構造協会編 2012年2月 P.2

2.  鉄構技術2012年2月号 P.14 鉄骨Q&A

「高力ボルト接合の摩擦面は、黒さびでも問題ないのでしょうか」に対する寺門氏(溶融亜鉛めっき高力ボルト技術協会)の回答

3. 高力ボルト接合技術の現状と課題 日本鋼構造協会発行 平成25年3月 P.141

4. 建築高力ボルト接合管理技術者 講習テキスト 建築鉄骨品質管理機構発行 P.17

5. 高力ボルト接合設計施工ガイドブック 日本建築学会編 2016年5月 P.73

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