建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

3-19 組立て溶接と位置決め溶接 (2)

組立て溶接と位置決め溶接の違いと、それぞれの要点について教えて下さい。

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A

鉄骨部材を組み立てる手順、例えばフランジとウェブを全線隅肉溶接するビルトアップH形断面材を考えてみます。この時、フランジの上にウェブをのせてそのまま全線本溶接をすることはできません。まず、ウェブ位置を決めるために短い溶接ビードで組み立てていきます。あまり長いと角度調整などができませんので、短いビードとなります。この溶接が位置決め溶接です。

位置や角度などを調整したあと部材を本溶接する場所へ運搬したり、あるいは本溶接中に位置決め溶接がはずれてしまわないように、それなりの長さの隅肉溶接を行います。これが組立て溶接です。以前は、これらを区別せず「仮付け溶接」と呼ばれていましたが「仮」という言葉のせいで溶接がおろそかになりがちということで「組立て溶接」と名称変更されました。

この位置決め溶接はその目的からビードがどうしても短くなるため、問題とされることがあります。しかし、この溶接なくしては部材の組立てはできません。しかしその部分が硬化している可能性がありこのまま存置することは問題ですので、硬化部分を軟化させるためや、その後の溶接の際に割れが発生しないように、この位置決め溶接を完全に覆いかぶせるように所定の長さと脚長を持つ組立て溶接を行う必要があります。

この例ではこの組立て溶接の上から本溶接が行われますが、裏当て金の溶接などの場合は組立て溶接がそのまま残るものもあります。

組立て溶接は「組立て」のために行うものですが、溶接の種類からは断続隅肉溶接です。

本溶接が行われる場合は、本溶接の一部となりますし、そのまま残る場合もありますので、溶接欠陥の発生しないような溶接を行うことが大切です。

また、位置決め溶接の上から溶接する際も位置決め溶接部を再溶融するようにしっかりと溶接することが大切です。

なお、参考までに以下にJIS溶接用語:Z 3001-2:2013を示します。


24238 タック溶接:本溶接の前に、定められた位置に母材を保持するための断続的な位置決めのための溶接
  注記 従来、一時的溶接を含めて仮付け溶接ともいわれていました。

24239 一時的溶接:つり上げ金具の溶接及びストロングバックなどを一時的に固定するための溶接
  注記 それぞれの目的を達した後には除去されて、最終製品には残りません。

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