建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

1-4 高力ボルト用の拡大孔について

高力ボルト接合においては、建築基準法施行令第68条においてボルト孔のクリアランスは、M24以下で2mm以下と規定されております。2mmを超えたクリアランスを持つ拡大孔の使用の可能性はないのでしょうか。

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A

拡大孔の使用は、法的には、建築基準法施行令第68条の規定によって大臣認定を得た場合は、使用できることとなっています。その場合、大臣認定の対象は、個々の建築物であって、接合部のみを対象とすることはできません。つまり、ある条件下で高力ボルト接合の拡大孔を使用することのみを認定対象とすることは認められていません。

力学的には、多くの実験データで多少の耐力低下を生じますが、拡大孔の使用には大きな問題がないことが明らかになっています(注1)。このため、日本建築学会刊行の鋼構造接合部設計指針(注2)では、母材に限り拡大孔の範囲と低減係数を提示しています(下記 ECCSの規定と同じ値です)。また、欧米の設計規準では、拡大孔の使用が公的に認められています。例えば、EU圏で使用されている鋼構造設計規準であるECCSでは、ボルト径が24mm以下の場合、ボルト軸径+4mmまでの拡大孔は、接合部耐力を0.85に低減すれば一般的に使用することが認められています(注2)。

実際問題として考えると、法的な問題はあるとしても、上記の耐力低減を行ってボルト接合部の耐力を計算し、部材に関しては、拡大孔を考慮して部材設計を適切に行うなら、設計監理者、設計者、ゼネコンの了解の元に拡大孔を使用することが現実的ではないかと考えます。なお、この場合、拡大孔を使用するのは添え板ではなく、中板のみとすべきです。

注1 日本鋼構造協会 高力ボルト孔径検討小委員会:過大孔・スロット孔を有する
   高力ボルト摩擦接合部に関する実験報告書 1998年3月

注2 日本建築学会 鋼構造接合部設計指針 2.1.2 板要素接合部の設計と耐力
   表2.6 及び 表C2.14

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