建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

1-3 高力ボルトの支圧接合について

高力ボルトのセットを摩擦接合ではなく、支圧接合として使用することは、可能でしょうか。

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A

高力ボルト接合は、摩擦面処理を行い、決められた初張力を導入して使用することが大前提です。この点は、建築基準法令でも規定されており、法的な根拠があります。このため、一般的には高力ボルトを支圧接合として使用することは、認められておりません。

支圧接合としての使用を許容すると所定の表面処理も行わず、初張力も導入しない状態で高力ボルトを使用することになります。更に支圧接合としての許容耐力は、摩擦接合としての許容耐力より大きくすることができますので、高力ボルトを用いた接合部で支圧接合が主流となってしまう可能性があります。支圧接合として使用する場合は、接合部でのずれを防止するため、ボルト孔のクリアランスは、学科規準では0.2mm以下、建築基準法施行令ではM20以上で1.5mm以下とすることとなっており、実際の部材加工、現場での建て方などの施工面で摩擦接合より厳しい条件が要求されますが、このようなボルト孔の規定は、実際には無視される可能性が高く確実に遵守される保証はありません。このような状況を考慮すると、高力ボルトを使用した支圧接合の導入によって高力ボルト接合の設計・施工体系が混乱したものとなる可能性が否定できません。このような理由により高力ボルト接合については支圧接合としての使用は法的に認められていません。

関連してターンバックルブレースのJIS規格において高力ボルトを使用した支圧接合が使用されていますが、この場合は、使用箇所がJIS規格のターンバックルブレースに限定されております。ターンバックルブレースの力学特性を考えてみると、ターンバックルを締め付けることによってブレース材には張力が導入されており、ボルトは、ガセットプレートの内側に引き寄せられています。このような状態でブレース材が地震力を受けるとブレース材の細長比が大きいため、接合部に圧縮力は作用しません。ブレース材に引張力が作用した場合のみボルトは支圧状態で応力の伝達が可能となります。このようにターンバックルブレースの接合部は、接合部に生じるずれの影響がないため、力学的にも明快であります。このような使用方法は、例外的、特例的なものと考えるべきです。

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