建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

1-2 異径継ぎパネル部

コラムの異径継ぎパネルゾーン用の部材製品が販売されています。各製品のどれも品質安定をうたい文句に宣伝しています。貴誌では「これまでの板継ぎ方法では、かつての日の字柱時代同様、問題あり」と指摘していますが、どう大変なのか、詳細に説明してください。

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A

通称コラムといわれているものには、図1に示す断面があります。 コラムを設計に採用した場合、建物の上下階の柱のせい・幅が異なる設計があります。このようなコラムの設計は、ほぼ100%仕口部分(柱と梁の納まり)が梁通しの設計となります。経済設計を目的に各階毎に柱断面寸法を変える設計方法です。構造計算上は簡単ですが、仕口部(パネルゾーン)の加工面では、厄介です。上下階の柱のせいを同じ設計にし、単に板厚を変化させた設計をする限り、仕口部分の制作上、特に問題はありません。柱せいを絞った場合の仕口部分は、図2のようなケースがあり、仕口部分の柱材(パネルゾーン)の加工が厄介になります。柱断面を絞った場合の仕口部の詳細図を図3に示します。

板厚を加味した異径断面は、角型断面を構成する板のコーナー部分の突合せ溶接部や、上下ダイアフラムとのT型突合せ部に、次のような問題があります。コーナー部の角溶接は、片面絞り・両面絞りとも同様に、鋼板同士の交角が90°より大きくなる(直角でない)ため、裏当て金の取付けで、図3のイ-イ断面のように、裏当て金を傾斜加工しない限り、組立て精度によっては密着しないこともあります。平鋼の裏当て金だと溶接時に溶け落ちの原因となり、溶接後、この部分の超音波探傷検査(以下UT)を行った場合、溶込み先端部の反射エコーが高くなり、欠陥か否かの判定に誤差を生じます(欠陥と見られやすい)。

このようなことは、上下ダイアフラムと4面の柱材との溶接にもいえます。図3のA部については、コーナー部の角溶接と同様のことがいえます。B部については、たれ込み溶接となりやすく、柱の絞られる量が大きい程、隙間も大きくなり、当然たれ込み部分のUTの欠陥検出率も多くなります。

上下ダイアフラムと取合う4面の鋼板は、実際の加工寸法を図4に示すように、現寸展開をきちんと行わなければなりません。現寸は、図4のd1、Δd1からd2の寸法を展開し、a材・b材寸法を展開します。a材については、W1, W3寸法プラス末広がりする分、大きくなるはずで、コラムの板厚が12mm以下や、柱の絞り量が片側で50mm程度で、梁成も400〜500mm位なため、勾配も1/8〜1/10とゆるい等の要因で、通常の加工精度±2mm位に納まってしまうことから、広がり分を無視しています(組立て例として、写真1参照)。

仕口を構成する部材は、切板を経て四面開先加工を行う等2度切りとなり、加工工数だけでなく、寸法精度の確保、溶接部の品質確保の上での問題がないわけではありません。 また、コラムのコーナー部R部分と仕口部分の角が当然一致しないことは、ご存知のことと思います。このような点等を含め、『鋼構造ジャーナル』等の記事に「日の字型断面柱の問題点同様のこと」と引き合いに出されたものと思います。

図1
図1 ボックス型柱断面の分類
図2
図2 コラムの絞り形
図3
図3
図4
図4

参考文献:建築技術者の鉄骨Q&A

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