コンクリートとの密着性確保のため、柱脚部など、コンクリートに接する部分の不めっき処理を要求されることがありますが、同構造でも不めっきしない場合もあります。不めっきをしている場合、めっき浸漬時に燃えカスとなったカーボンが通常部に付着する事もあり、不めっき不要で進めたいのですが、コンクリートとの密着性(付着)等の観点等から、納得してもらう説明方法(資料等)を教えて下さい。因みに、耐震枠のコンクリート接触部等は全てめっきしております。
次の3つが考えられます。ご質問に対する直接的な回答は3.であろうと思いますが、他の考え方も紹介します。
1.原設計の指示通り不めっき剤の残りを除去する。図面の指示通りの製作なのでその処理に要する時間は確保し、費用の請求はきちんと行う。
2.コンクリートに埋まる部分とめっき部分の間に通しダイアフラムを挟み、上下で加工法を分ける。
3.全体をめっきする。
構造設計者の考え方にもよりますが、スタッドがかなり設置されていますので、付着はさほど考慮しなくていいと思います。この点については質疑で確認してください。
また、日本鉱業協会「鉛と亜鉛」2003年1月号に、H形鋼などとコンクリートの付着特性に関する研究報告が掲載されています。そこでは「付着強度試験を行ったところ、亜鉛めっきされた鋼材とコンクリートの付着強度は、めっきされていない鋼材とコンクリートの付着強度に比べそれ以上ないし同等」との結果が得られています(下図)。
なお、写真のようなベースプレート形式の場合,ベースプレート下面をめっきしていいのか、いけないのかは柱脚設計におけるベースプレート下面の摩擦の考え方によりますので、設計者に確認してください。
参考文献
・日本溶融亜鉛鍍金協会「めっきFAQ」34.亜鉛めっき鋼材とコンクリートの密着性は?
・日本鉱業協会「鉛と亜鉛」2003年1月号
・日建連 鉄骨工事Q&A 屋上工作物の根巻き部分も溶融亜鉛めっきしても問題はないか?
2019年4月1日
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