溶融亜鉛めっき高力ボルト接合の表面処理は、現在ブラスト処理とリン酸塩塗布処理の2つの方法があります。設計者によっては、りん酸塩塗布処理を認めず、ブラスト処理にしなければならないと言います。りん酸塩塗布処理ではいけないのでしょうか。
ご指摘の通り、溶融亜鉛めっき高力ボルト接合の表面処理には、ブラスト処理とりん酸塩塗布処理の2つの方法があります。時系列的に見るとめっき高力ボルト接合が使われ始めた1985年頃はブラスト処理しか使用されてなく、りん酸塩塗布処理は行われていませんでした。その後、りん酸塩処理が行われるようになり、試験データも蓄積されてその性能に問題のないことが確認されています。
そこで、2010年に溶融亜鉛めっき高力ボルト技術協会が刊行している「溶融亜鉛めっき高力ボルト接合設計施工指針」および「溶融亜鉛めっき高力ボルト接合施工管理要領」で正式にこの処理方法が採用されました。
これらの指針では上記の2つの処理法を適用する際の条件が説明されており、その方法によればどちらの方法を用いた場合でも0.40のすべり係数が得られることが明記されています。
なお、最近では処理に要する手間の違いから、より簡易な方法であるリン酸塩塗布処理が圧倒的に多数となっているのが実情です。
しかし、このような経過から、また明らかに手で触って接合面の感触を確認できることから、設計者の中にはブラスト処理に拘っている人がいるようです。従って、必要であれば上記の技術協会に連絡してこれらの指針類を入手して対応を検討すればよいでしょう。
2018年改定JASS 6において、摩擦面処理方法としてブラスト処理とりん酸塩処理が一般的な方法として定められています。
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