アンカーセット別途工事で、アンカーボルトの出をマンジュウ分計算に入れずアンカーボルトの出が足りないためシングルナットがかかる程度の場合、ダブルナットの強度を保つために一般的にはどのように修正案を出したほうがよろしいでしょうか。
アンカーボルトセットが別途工事ということなので、修正や対応を考えるのは当該工事担当者(普通はゼネコン)の仕事と考えます。修正案を提示するというより、考え方を提示し、それ以降は客先と協議すべきと考えます。
柱の据付け面の高さはベールモルタルの天端から測定しますので、この高さが建物の高さを決定するといっても過言ではありません。
ご質問の図の30mmが設計値と考えます。
1の場合、このままでは建物高さが変わってきますので(あくまでも計算上です)、モルタル天端を削って正しい高さにすべきです。
2の場合で30mmが確保できている場合、ダブルナットとするために30mmを削ると建物高さが低くなりますのでこれはできません(あくまでも計算上です)。
従って、アンカーボルトが下がった状態でダブルナットをどうするか?ということになります。ダブルナットは構造耐力上というよりゆるみ止めのためと考えます。例えば、参考文献では、「下ナットを締め付けた後、上ナットを締め付けることにより、ゆるみ止めを施す」としています。
普通は同じ高さのナットを使用しますが、ナットの種類を変えることも考えられます。
後から締めるナットについて特に規定はしていませんので薄いナット(JIS B 1181の六角低ナット。ナットの高さがねじの呼びの約半分。六角ナットの高さはねじの呼びの約80%)を戻り止めとして使用することも考えられます。また、ナットと座金を溶接することも考えられます。
ただし、JIS B 1220 (建築構造用両ねじアンカーボルトのセット) によるABR, ABMのセットはナット4個を含めて規格化されていますので、ナットの種類を変えるとJIS規格外となりますので注意して下さい。
<参考文献>
建築構造用アンカーボルトを用いた露出柱脚設計施工指針・同解説改訂版2011年9月
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