建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

5-22 ルーズホールの摩擦接合面処理

 建物間にかかる梁 (渡り廊下) や 種類や形状の違う構造物間にかかる梁の片側,及びクレーンガーダ梁の片側などのボルト孔がルーズホールの指示があることがあります。このルーズホール部分において,ボルト使用の場合については摩擦接合面処理は必要ないという解釈ですが,高力ボルトが使用されている場合に摩擦接合面処理は必要でしょうか。

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A

 ルーズホールは、「構造耐力上主要な部分」には該当しない接合において,以下の様な場合に用いられることがよくあります。
@ 複雑な建方が要求される場合の部材の組立て寸法ばらつき等の吸収
A 予期できない大きな変形等が生じる恐れのある部材の逃げの確保
B 部材の熱膨張による伸び・収縮の逃げ

 質問の内容はAの場合に該当しますが,この場合ルーズホールは過大な変形に追随するためのもので,接合面は大きな力が働けば滑ることが求められます。従って高力ボルトが使用されているとしても,摩擦係数を確保するための「摩擦面処理はすべきではない」ということになります。このことはBについても同様です。この場合,大きな力に対し接合面で確実に滑ることが重要ですので,例えばテフロンシート等を用いることも考えられますが,この辺の判断については設計者に委ねるべきであると思います。

 A, Bの場合留意すべきこととしては,ボルトの緩み止め対策です。建築基準法では,ボルトの緩み止めの措置について,下記が規定されます。
・ボルトをコンクリートで埋め込むこと
・ボルトに使用するナットの部分を溶接すること
・ボルトにナットを二重に使用すること
・上記と同等以上の効力を有する戻り止めをすること(スプリングワッシャーなど)

 どのような対策を施すかについては,設計者の判断に委ねるべきであると思います。
ちなみに@の場合には組み立て後,摩擦接合としての接合強度を期待する場合が多いと思われますが,ルーズホールの場合摩擦接合のための有効面積が狭くなるため注意が必要です。摩擦接合面処理を行うとともに,大きめのワッシャー等を用いて確実に接合強度が得られるよう配慮が必要です。
 また@の場合については,海外の規定が「5-9 HTB 拡大孔などの適用条件は」に紹介されているので参照して下さい。

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