建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

5-20 『高力ボルト摩擦接合面』の定義

 「高力ボルト摩擦接合面」の定義は,どの面でしょうか。部材と部材が接する面であると認識しています。スプライスプレート外面や,ガセットプレートの部材側でない方の面まで正式な摩擦接合面処理を要求されることがあります。その面は,処理の必要はないと考えておりますがよろしいでしょうか。

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A

 「摩擦接合面」は締付けによって鋼板と鋼板が密着する面であり,すべり現象が生じたときにずれが生じる面です。質問に示されている「スプライスプレート外面」や,「ガセ ットプレートの部材側でない方の面」は摩擦接合面ではありません。高力ボルトを用いた摩擦接合部の性能はこの摩擦接合面のすべり係数で定まることになります。

 摩擦接合面の反対側の面は高力ボルトの締付け時に留意点があります。日本建築学会の鉄骨工事技術指針工場製作編(4.10.4 摩擦接合面の取扱いp.280)には「なお,摩擦面の裏面のすべり係数は特に規定されていないが,この部分のすべり係数が低いと本締め時に共回り・座金回り等の原因となる.したがって,高力ボルトの頭や座金が取り付く側も,黒皮を除去するのを原則とするべきである.油分や塗料はすべり係数を著しく低下させるので,特に注意する」
 したがって,摩擦接合面と反対側となるトルシア形高力ボルトを用いる場合の頭が接する部分の鋼板や高力六角ボルトを用いる場合の座金が接する部分の鋼板については,共回り・座金回り等を防ぐために黒皮を除去することが望ましいといえます。

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