部材の塗装仕上げが溶融亜鉛めっき仕上げに変更された場合、接合部に使用する高力ボルトがF10TからF8Tに変更されます。その際、ボルトの本数が約2割増すことになります。高力ボルトの本数を変更なしとする対応はありませんか。
このような場合、基本的にはボルト本数の増加はやむを得ないと考えられます。従って、このような変更が工作図段階であれば、接合部の設計を変更しなければなりません。しかし、部材の製作が終了している場合には、構造上問題がなければ、例えばボルト孔径を22Φから24Φに大きくして太径のボルトを使用することで対応することなどが考えられます。ただし、ボルトピッチ、縁端距離を考慮すると必ずしもこのような対応ができるとは限りません。そのような場合には、スプライスプレートの周辺を耐力の不足分だけ隅肉溶接とし、その後をタッチアップペイントで塗装する対応もあるでしょう。
なお、溶融亜鉛めっき高力ボルト接合の実情を考えると、ボルトの締付けにナット回転法を採用しており、この場合、ボルト1本あたりのすべり耐力は、平均的に設計値の1.3倍以上あるのが一般的です。接合面のすべり係数も設計値である0.40よりかなり大きくなっているのが普通です。このような状況を考慮すると、通常は設計上必要とされるボルト本数についても、原設計のままでも変更することなく、接合部耐力が確保されている状況にあると考えられます。
建築確認上の問題はあるが、その点を別途対応することができれば、上記の設計変更に至った事情によっては、このような状況を設計者に説明して現状の設計のままで対応してもらうこともあり得ることではないかと考えられます。
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