鉄骨造では冷間成形コラムが多用されており、それに対するロボットも数種類販売されていますが、当社では設置していません。そのためコラムのR部の溶接にいつも苦労しています。日本建築センターの冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアルには、R部の溶接方法についていくつか例が載っていますが、R部の溶接方法で施工上行ってはならない方法、また、この方法が良いと思われるものがありましたら教えてください。
角形鋼管を使用して柱を製作する時に常に問題となるのが、このR部分の溶接方法です。角形鋼管が販売され出してから20年以上の歳月が経っていますが、現在でもこの方法がベストと言い切れるものは出ておらず、大きな鉄工所では人的な作業はあきらめてロボットに任せているのが現状です。しかし小さな鉄工所では設備投資もままならず、手探りの状態で施工を行っています。図-1に掲載されている3方法は、その中でも多くの鉄工所で採用されているものですが、これとて完璧なものでなく、多くの問題が内在しています。
Aの場合、まずイ)のように8個のセラミックタブを用いて下向き姿勢(F)で溶接を行い、タブをはずしてから、ロ)のように45°回転し必要に応じガウジングを行い、ハ)のように下向姿勢(F)でR部を施工します。この方法の問題点を列記すると、
現在は、下記の施工方法を採用しています。
2-1 板厚が16mm以下の場合
図2のように、Cの方法と同様ですがタブのつけ方と溶接方法を改良しました。これは、サイコロの場合とシャフトをつける場合も同じです。タブを対角線上に沿ってつけ、R部を平坦部分と同じ高さになるように先溶接をしてから、本溶接を行います。溶接は、4面ともすべて下向き姿勢(F)で行います。
2-2 板厚が16mmを超える場合
まずサイコロを仮組みし、図3のようにタブを8枚用意して、平坦な部分を下向溶接で行います。パス間温度を維持するため、4層おきぐらいに上下溶接箇所を変え、8箇所とも終了させて、出来れば、その部分のUTも済ませておきます。
タブの角度(図では15°)は、後にR部を溶接するときに、回転治具が使用できるときは下向溶接で、使用できないときは立向溶接(V)で施工するので、それを考えに入れて適宜な角度で取り付けておきます。
立向溶接で施工する際の電流・電圧は下表を参考にしてください。
次に仕口を取り付け、溶接・検査終了後大組立てを行います。サイコロとシャフトの溶接も、平坦部を先に行います。最後に図4のようにダイアフラムを挟んだ両方のR部を、下向き、または、立向姿勢で溶接を行います。サイコロ部分とシャフト部分の板厚が違うときは、外径に違いがあるので、余盛を揃えておきます。
Supporting Association for Building Steel Structural Technology All Rights Reserved.