大梁がSN材、小梁がSS材の一般物件で、柱からの片持ち梁(CG梁)は、小梁リストに書かれていることが多いのですが、その場合、片持ち梁はSN材を使用しなくてよいかどうかの質疑を行うことなく、SS材と考えてよろしいでしょうか。
この設計図を見る限り、片持ち梁CGはSS400で良いと判断できます。
大梁の鋼種設定において、端部のみSN400Bを使用し中央部はSS400としていることから、この設計は経済性を追求しいると読み取ることができます。塑性ヒンジを想定している部位についてはSN材を使用し、その他はSS材としています。塑性ヒンジを想定している梁端部に、溶接部の性能確保に適し、部材厚さ寸法におけるマイナス側の厳しい許容差規定のSN材を使用することは重要なことです。
そこで、片持ち梁CGについてですが、塑性ヒンジを想定していないので、SS材でよいという設計方針と考えられます。また図面上も、小梁リスト中に記されており、SS400と明示されています。
一つ気になるのは、同じ断面の部材でSN材とSS材があることで、製作時に取り違えることがないかということです。製品になった状態でSN, SSを区別確認することは大変困難です。サムスチールチェッカーは400材と490材の区別はできますが、SN材とSS材の区別はできません。十分な品質管理ができ、トレーサビリティをしっかり残せるか、ファブの責任は重くなります。
逆に、設計者の配慮としては、SN材とSS材で同じ断面の部材にならないように部材選定をしておくと、余計な心配がなくなり、ファブにも余計な神経を使わせなくて済みます。
蛇足ですが、鉄骨の工作図は設計者や監理者のチェックを受ける訳ですから、CGはSS材として取りまとめて、材料発注の前に承認を受けておいた方がよいでしょう。
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