小規模物件の大梁ブラケット(H-250x125以下)や、耐震補強枠のフランジカット面の裏当て金の組立て溶接に、JASS 6記載のフランジ端部から5mm以上、フィレットから5mm以上を確保して組立て溶接長さを40mm以上確保することは不可能です。この場合、40mm未満のショートビードになる、またはフランジ端部やフィレット部に組立て溶接がかかる、どちらを守ることが正解だと言えるでしょうか。
スカラップ工法の場合、フィレット部やフランジ端部と組立て溶接の間隔を5mm以上確保することを優先してください。この場合,溶接長は40mmより短くなります。梁端が塑性化する場合、フィレット部やフランジ幅方向の端部(エンドタブ近傍)は亀裂発生の起点となる可能性があるためです。
耐震補強に用いる鉄骨枠は一般に塑性化しないと考えられますが、フランジ端部と溶接部端部の間隔を5mm以上確保してください。JASS6には組立て溶接長さが40〜60mm程度と示されており,その両側に5mm超を確保する図が示されています.梁幅が小さいH形断面の場合はこの図が対応しないので,別途組立て溶接長さが40mmより短くなる場合の図または文言を工作基準に明示することが望ましいと言えます。
なお、日本建築学会「鉄骨工事技術指針・工場製作編」1)ではノンスカラップ工法を用いる場合、フィレット部と組立て溶接の間隔を5mm以上確保する規定(下図における※寸法)は有りません。
したがって、組立て溶接とフィレット部とは5mm未満でも可能で、また、フィレット部まで連続溶接しても良いことになりますので留意して下さい。
【参考文献】
1)(一社)日本建築学会:鉄骨工事技術指針・工場製作編、p.243、2018年
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