建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

3-53 内ダイアフラムと柱スキンプレートの板厚差は

 柱梁仕口部でダイアフラムが内ダイア形式となる場合、内ダイアフラムの板厚が柱板厚の3サイズ(9mm)アップまで適用可能、と構造図に記載されています。

 内ダイアフラム板厚が柱板厚より極端に厚い場合、どのような問題が生じるでしょうか。また、問題の生じない内ダイアフラム板厚と柱板厚の板厚差はどの程度でしょうか。内ダイアフラムの溶接方法をCO2半自動溶接、ESWとして其々について教えてください。

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A

 従来は、柱通しの柱梁接合部では、柱スキンプレートの板厚は梁フランジ厚(またはダイアフラム厚)と同厚以上とするのが一般的でした。その理由としては、柱スキンプレートに対し梁(またダイアフラム)の溶接部の熱影響により、接合部の靭性低下が生じるのを避けるためです。しかし、梁フランジ厚と内ダイアフラム厚が同厚の場合、施工精度上の問題からずれ(目違い)が生じ易く、目違いが接合部の靭性低下の要因となることから、それを避けるため、異なる板厚が集まる接合部の内ダイアフラム厚は、施工上の誤差も考慮して、集合する梁フランジ厚の最大板厚の1サイズアップとするのが一般的となりました。その結果、ダイアフラム厚は、柱スキンプレート厚の1サイズアップまでは許容することが一般となったのです。

 本来、当初の梁フランジ厚に対し柱スキンプレートの板厚を同厚以上とするというルールは、柱と梁の力学上のバランスからも、合理性があったと考えられます。しかし、CFT構造が普及するとこのバランスは崩れることになります。薄い柱スキンプレートに厚いダイアフラムが取り付くディテールが、随所で見られるようになりました。しかし、冒頭に述べた、梁フランジまたはダイアフラムの溶接の熱影響により、接合部の靭性が低下する問題は解決したわけではありません。極端にダイアフラムが柱スキンプレートに比べ厚い場合には、設計段階で通しダイア形式にディテールを見直すなどの対応が必要です。

 ダイアフラムの溶接がCO2半自動溶接の場合にはそれほど溶接による入熱の影響は大きくなりませんが、内ダイアの溶接がエレクトロスラグ溶接の場合には、大入熱のために、熱影響部の破壊靭性が大きく低下する恐れがあります。施工試験を行い適切な靭性が確保されていることを確認する等の対処が望まれます。

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