JASS 6 9節「溶融亜鉛めっき工法」の表9.2に、検査項目と合否判定基準が記載されています1)。この中で、開先面のめっき付着の合否判定基準の欄に、「開先面およびそれらに隣接する100mm以内の範囲、かつ超音波探傷検査に支障を及ぼす範囲にあってはならない」とあります。
外壁等との納まりの都合等により、どうしても100mmを確保できない場合はどうすればよいのでしょうか。
鉄骨と外壁の距離が100mm未満の場合、開先面から100mm以内の範囲にめっきの付着があってはならないことからめっき部材を施していない部分が外壁の外側に出てしまいます。
めっきを行わない鉄骨とめっきを行う部材の溶接接合する場合は、めっきを行わない鉄骨に取付く側のめっき部材端部100mm以上の範囲について不めっき処理が一般的に行われていると思いますが、開先面から100mmの寸法は溶接部の超音波探傷検査を考慮して決められた最小の寸法と考えられます。
斜角探触子45度、65度、70度を用いて、溶接部の検査が行えれば100mm以内の範囲までめっきを行っても良いと思われますが、めっき後の不めっき処理面は、燃焼などの処理を施して残存する塗料・シールテープ、および部分的に付着している亜鉛を完全に除去し、溶接に備えなければならないことを考慮すれば、100mm程度の寸法は必要と思われます。したがって、めっき範囲外が外壁の外に出てしまう箇所は、溶接後、高濃度亜鉛粉末塗料を塗り付けて防せい処理を行うことになります2)。この場合は、設計者、監理者およびゼネコンに製作方法について質問回答書などで確認をお願いします。
<参考文献>
1)一般社団法人日本建築学会「建築工事標準仕様書JASS 6鉄骨工事 (2018年版)」p.48
2)一般社団法人日本建築学会「鉄骨工事技術指針・工場製作編 (2018年版)」p.559
Supporting Association for Building Steel Structural Technology All Rights Reserved.