建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

3-39 耐火被覆と錆止め塗料の関係を知りたい

 以前はJIS K 5622、5623、5625ですと耐火被覆をする場合でも塗装しても良いと言われて良く塗装していました。現在ではJIS品ではなくなった為、最近はJIS K 5674を錆止め塗料として使用します。ただ、耐火塗装面への塗装はNGと聞いています。

 もし、設計者からなぜNGなのか質問された場合の回答方法としてスムーズに納得しても らえる方法を教えてください。

▲質問一覧に戻る


A

 まず、耐火被覆する鉄骨部分に防せい塗装が必要な場合は以下とされています1)。

●水廻り・外周部あるいは相対湿度が70%を超える可能性がある鉄骨部位。

●工事期間中に発生するさびによる汚染、近隣へのさびの飛散の可能性がある場合。

 ご質問の通り、現状、JIS K 5622、5623、5625が廃止されているため、耐火被覆する鉄骨部位の防せい塗装にはJIS K 5674を用いることが多くなっていると思われます。

 ロックウール工業会の研究成果では、塗料JIS K 5674の塗膜と半乾式吹付けロックウールとの付着性(接着性)については特に問題ないと思われるとしています2)。

 また、日本建築学会、鉄骨工事技術指針・工事現場施工編(2018年版)1)では、以下のことが記載されています。

(1) 現在多くの現場で使用されている半乾式吹付けロックウールでは、下図に示すように耐火被覆材自体が破壊してしまう凝集破壊が支配的に生じるため、塗膜との接着面での接着破壊は、塗装の種類に関係なく、問題とならないとされている。

(2) 無機繊維混入けい酸カルシウム板では、塗膜との接着性に問題が生じる可能性がある場合、鉄骨に取付けられた軽量鋼材に固定する方法などを検討する。

(3) 巻付け工法の耐火被覆や成形版の耐火被覆は鉄骨に直接接着する工法ではなく、鉄骨に対して機械的な接合によって取付けられているものであるため、接着界面の問題は生じない。

 このようなことから、文献1)では、「現在よく使用されている耐火被覆材においては、塗料の種類との接着界面の問題はない。」としています。

 以上から、水系さび止めペイントを除いて、JIS K 5674を塗布し耐火被覆をしても問題がないものと思われます。

[参考文献]
1) 日本建築学会、鉄骨工事技術指針・工事現場施工編(2018年版)、pp.367〜370
2) ロックウール工業会吹付け部会技術分科会、鋼材に塗布した各種さび止め塗料と半乾式
吹付けロックウールの付着性、2012.12.17

▲質問一覧に戻る