せん断孔あけは高力ボルト用の孔にはなぜ適用できないのですか。
ボルト孔をせん断孔あけする場合、ポンチやダイスが新しいときはきれいな孔あけができます。しかし、同じ工具で何回も孔あけをするとこれらの工具がへたってきて、精度のよい孔があけられず、ポンチが入る側の孔周辺が孔の内側に入り込み、反対側では板の表面より外側に出っ張るような変形が生じます。特にこのような出っ張りは、接合部で板を重ね合わせた場合、接合面の密着を妨げる働きをします。高力ボルト接合では、接合される板同士が密着していないと適正な応力伝達ができません。すなわち、接合面を密着させることが前提ですので、そのような状態を避けなければなりません。
このような現象を避けるためには適切な使用回数でポンチやダイスを交換する必要がありますが、そのような管理基準が整っていない場合には常に適正な孔あけができるわけではありません。このような理由で高力ボルト接合ではせん断孔あけは認められていません。
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