セットバックしたコラム柱の構造的な納まりはどうすればよいですか。
地方の建物では、あまり見る事がないでしょうが、東京都内の住宅地や狭い道路の斜線制限や北側斜線などの影響を受ける、通称セットバックのある建物(特に3階以上となる柱)が多いので、その加工方法と溶接開先などの対処の仕方について示します。
図-1に簡単なコラム柱の建物のセットバックによる事例を示します。A通り①通り柱は2方向斜めになるので、②、③通りの一方向にセットバックの標準的な場合とします。
1.斜線制限の問題
斜線制限は1:1.25と1:1.5とありますが後者のケースとします。
図-2のケース1では、鉄骨面から斜めに建つ柱(記号D)のトッププレートでは1.2D位に柱のせいが大きくなり、仕口部分も難しい形状と言えます。多分、外壁面を考慮すると、柱が仕上げの収まり上内側へ寄ってしまい、部屋の有効面積に影響する悪い例と言えます。
従って、図-2のケース2が一般的な納まりであると考えられます。
① 柱の開先加工上にも問題が有ります。(図-3参照)
② 図-2のケース2では柱に折り曲げた形状の継手を設ける方法です。つまり、通しダイアフラムを設けて溶接しやすくする改善例です。
このセットバックのある建物は、最上階の梁フランジがねじれた断面となる仕口となり、現場接合の高力ボルトの締付けのも影響が出ます。
③ 図-2のケース2の折り曲げた形状の柱トッププレートはセットバックの勾配の1/2の角度に取り合うことになります。この折れ点は内側のUTの出来る寸法(柱の板厚の6倍プラス20mm以上)は確保する必要があります。この状況の切断・開先加工における斜めの加工は手仕事に近いでしょう。
図-4を見れば右側の開先角度は一般に裏当て金付き完全溶込み溶接T継手のベベル角度を加工しても、図面上、更に15°位余分に加工しないと溶接が出来ない状況となります。
反対側の左側は35°にプラス15°増える開先となり、溶接量を減らすための工夫が逆に必要でしょう。50°位で有ればそのままでも問題は有りません。
両側ともT継手の裏当て金には角度のある加工が必要です。
以上の様な加工方法を取れる設計図となっているのか確認をして問題を解決してから、製作を開始して下さい。
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