最近の鉄骨工事では、曲げ加工が必要な部材が多くなっています。JASS 6では常温加工と加熱加工が定められていますが、それぞれの注意点を教えてください。
プレス等で鋼材に外力を加えて曲げる方法です。その為、曲げた部材の外側は伸び、内側は収縮する現象になります。一般的に、伸び量のほうが、収縮量より大きくなります。このように鋼材に塑性変形を強制的に与えることは、鋼中の固溶窒素の影響もありますが、曲げ部分が硬化したり、靭性が低下することが知られています。また曲げられた材料の引張側はもとの厚みから減少(減厚)します。
曲げ半径が小さいと、外面の伸び量が鋼材のもつ伸び量よりも大きくなり、曲げられた外面にわれが発生すことがあります。これらを勘案してJASS 6では内側曲げ半径の最小値を定めています。H形鋼や鋼管を常温加工すると変形することがあります。H形鋼ではウェブにしわが発生したり、フランジの端部がふくれることがありますがこれも曲げ半径の影響です。
加熱加工には、部分的に加熱し、鋼材の熱膨張と収縮変形を利用する方法と、高周波熱源で、加熱し外力を加えて曲げる方法があります。
前者は溶接後の歪矯正作業と同様の方法です。この方法の注意点は、部分的に加熱冷却を施すため鋼材の性質が変化することです。変化を少なくするためには、加熱温度の管理と冷却方法を鋼材に最適な方法を採用することです。(図2)
後者は、鋼管やH形鋼のR曲げ加工に多く用いられております。このときの注意点は、前者の場合と同様に加熱温度と冷却方法です。また熱源(被加工材の全周に均一に配置するコイル)の形状、大きさで加工可能な部材の断面寸法が制約されますので、メーカーへの確認が必要です、常温加工と同様に、特に鋼管については、扁平や減厚が生じますので注意が必要です
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