現在の鉄骨製作において、組立て溶接と位置決め溶接の違いについて混乱している状況にあると思います。正確な定義づけを教えて下さい。
鉄骨部材の組立てにおいて、通常は位置決めのための溶接(位置決め溶接=写真1)を行い、組立て部材の正しい位置が決まってから、位置決め溶接の上から組立て溶接(写真2)を行うのが一般的です。つまり、部材の組立てに当たって、いきなり組立て溶接の規定値である40mm以上の溶接長で溶接することはありません。位置決め溶接がショートビードになることは明らかですが、条件・環境などにもよるが、長時間放置しなければそれによって割れが生じる可能性は低く、その後その上から適切な組立て溶接を行えば、その入熱によってショートビードによる局部的な母材の硬化は改善され、材質に関して実質的な影響はなくなると考えられます。
JIS Z3001 溶接用語の「溶接方法」には「タック溶接」という用語があり、これは従来から「一時的溶接」を含めて「仮付溶接」とも言われた言葉です。
日本建築学会の標準仕様書では当初使っていた「仮付溶接」という言葉は、一時的なものという感じが強く、適当にやっておけばよいという風潮を招く結果となると考え、この用語を改めて、鉄骨製作に必要な溶接であるということで「組立て溶接」という言葉に替えたものです。
このような状況を考えると、現段階では、「位置決め溶接」の概念と言葉が抜け落ちているものと思われます。この点をどこかで明確に示しておく必要があると考えます。
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