CFT構造が最近増えていますが、ファブリケータがCFT構造用の柱を加工する上で注意しなければならない点や、一般の鉄骨用柱の加工と比べて異なる点について教えてください。
ファブリケータでの加工において特別な技術は必要ではありません。注意点を柱、ダイアフラム、孔あけ等工程順に以下にまとめます。
【1】柱材
柱内部にコンクリートが充填されることから、施工時の圧入圧力や、コンファインド効果により柱には大きな周方向応力が発生します。そのためシーム溶接部の強度が一般鉄骨の場合より必要となり、設計者によってはシーム部の性能に特記を付ける場合があります。また溶接4面ボックスの場合の角シーム溶接ではフルペネにしなければなりません。
【2】ダイアフラム
一般的には通しダイアフラム、内ダイアフラム形式ですが、コンクリートの充填性から外ダイアフラム、円形鋼管では外リングで設計されている場合があります。これらの場合精度管理が十分でないと接合が不十分となりますので注意が必要です。ダイアフラムはコンクリートを充填するための孔および充填性確保のための空気孔が必要です(図1参照)。これを忘れると致命的で、四角の柱を丸くすることが時々あります。1節分の柱の端から懐中電灯を照らし反対側からチェックすることを薦めます。また、空気孔をダイアフラムの端部に開け、裏当金で孔のフタをしている場合もあるので注意が必要です。
【3】圧入口
コンクリート打設は圧入工法が普及しているが、トレミー管工法等があるので事前に施工者に相談する必要があります。圧入口が設計図面に明確に示されていない場合は資料1)を参照し設計者、施工者と協議して下さい。この場合圧入口を接合部から少し離しておく必要があります。打設後圧入口は元の状態に復元しなければならないが、その溶接条件は良くないので注意が必要です。
【4】蒸気抜き孔
蒸気抜き孔は火災時内部コンクリートから発生する蒸気を逃がすための孔であり、各階上下対向する位置に計4箇所開けます。この際コンクリートスラブ内に孔が塞がれないように注意する必要があります。
【5】その他
柱の内面はコンクリートが充填されることから清掃しておきます。
資料1):CFT構造技術指針・同解説((社)新都市ハウジング協会)
参考文献:月刊 鉄構技術 2000年12月号「技術Q&A 145」
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