ゼネコンから構造計算をして欲しいと言い出された時の対処方法を教えてください。
言うまでも無いことですが、構造計算は本来構造設計者が行うべきもので、それをファブリケータに要求するのは不適当てす。なぜそのような要求がゼネコンから出てくるのか、考えてみたいと思います。
① 設計者側の問題
・設計者がカバーしなければならない業務領域は、鋼構造のみではなく、RC造、SRC造、
木質構造等、広範である。建物規模も超高層建物等の大規模建築から、戸建て住宅まで、幅広いニーズに応えることが求められる。
・基規準、告示等の改定が頻繁に行われる。
・姉歯事件以降、確認等の厳格化により設計者の精神的負担が増えている。
その結果、構造設計者は本来多くの技術情報や知識を吸収する必要がありますが、消化不良を起こしているという実態があるのではないかと思います。従って、ゼネコンも設計変更要望等を出しても、的確な応えが得られないことを予見して、ファブリケータに頼りがちになるのだと思います。
② ファブリケータ側の置かれている状況の変化
・グレード分け等により、構造形式、建物規模別の専門分化が進んでいる。
・その結果、ゼネコンや設計サイドに比べ、専門領域に関する情報を多く保有している。
・設計者、ゼネコンはファブリケータに頼らざるを得ない状況が生まれている。
その結果このような質問(苦情)に繋がるのではないかと思います。では、どうすれば良いのか、考えてみたいと思います。
このような要望に応えることは、厳密に言えばファブの仕事ではありませんが、その様なニーズが現実的に存在するのであれば、それに応える体制を整えることも考えて良いのではないかと思います。例えば、ゼネコンからよく来る質問に対するQ&A集の整備や、必要に応じて実験データ等を準備し、その様なニーズに対し的確に対応できる体制を整えることも、重要ではないかと思います。
そのようなファブリケータの前向きな活動に対しては、SASSTも調査研究委員会等の活動を通して、積極的に支援して行きたいと思っています。
Supporting Association for Building Steel Structural Technology All Rights Reserved.