建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

3-50 HTB摩擦接合面の粗さを50μmRz以下にできるか

高力ボルト摩擦接合面の処理にショットブラストを採用することが多くなっていますが、その場合の粗さは、赤錆を発生させない場合、50μmRzを要求されます(JASS 6)。実際、ショットブラストでは、50μmRzを確保するのは難しく、平均35μmRz程度となります。 

すべり耐力試験のデータを蓄積していれば、粗さの低減はありうるでしょうか。


ショットブラスト後(上)

粗さ測定

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A

1. 法律の規定
平成12年5月31日建設省告示1464号「鉄骨造の継手又は仕口の構造方法を定める件」において、鋼材の種類に応じて高力ボルト摩擦接合面の摩擦面の状態が定められ、炭素鋼の場合は、「黒皮等を除去した後に自然放置して表面に赤さびが発生した状態又はショットブラスト、グリットブラスト等の方法によってこれと同等以上のすべり係数を有する状態」とされていますが、具体的なすべり係数の値は規定されていません。
また、ショット・グリットブラスト等で処理された面の状態は赤さびと同等のすべり係数を有する状態ということで、具体的な粗さの数値は規定されていません。

2. 具体的なすべり係数と粗さの数値
鋼構造設計規準(2005年9月)では、すべり係数を0.45として許容せん断応力度を示しています。そしてこのすべり係数を得る標準的方法としてJASS 6でブラスト処理(ショットまたはグリットブラストのみ、サンドブラストは認められていません)50μmRz以上を提案しています。しかしながら、ブラスト処理はブラスト処理条件や吹付け時間、研削材の細粒化などでばらつきが多いため安全を考慮して70〜80μmRzを目標とすることが高力ボルト接合設計施工ガイドブックで提案されています。特にショットブラストは作業条件や研削材の粒度管理を確実に行うことが必要とコメントされています。

3.まとめ
ブラスト処理面の粗さですが、処理毎にすべり係数試験を行い0.45以上を確認する方法は 可能と考えますが、ブラスト面の粗さの再現性、処理毎に試験をする費用、どれだけ試験をすれば納得してもらえるのかなど課題は多いと考えます。また、ご質問はショットブラストのようですが、グリットブラストではどうでしょうか。ブラスト処理は何回も処理を行うとせっかくの粗面をかえって滑らかにしてしまったり、グリット材の角が丸くなったり、ショット材が細かくなったりします。その処理時間や研削材の管理は、もう少し確認する項目があると思います。これら現状の処理方法をきちんと整理し、自社も含めどこの処理会社でも本当に粗さが確保できないのか、を確認してはどうでしょうか。
それでもすべり係数が出ない場合、「ブラスト処理は黒皮除去用」と割り切り赤錆とするのが無難だと思います。薬剤処理も安定して錆を出せると思います。
ご質問の考え方を否定するものではありませんが、費用や時間等総合的に考える必要があると思います。

<参考文献>
田中淳夫:規基準の数値は「何でなの」を探る 第2巻 
  Q220 「高力ボルト摩擦接合部のすべり係数」建築技術2015年5月
日本建築学会:高力ボルト接合設計施工ガイドブック2016年5月
  鋼構造設計規準―許容応力度設計法―2005年9月

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