建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

3-34 工作図承諾前の製作開始は

 工作図の承認がなかなか進まず製作工期が守れないことがよくあります。

特に、工作図の承認が当初の予定通りとならず、製作期間の確保が困難となる事態が常態化しています。やむを得ず、承認前に製作に着手した時に、万が一当該個所に設計変更などがあると、大きな損害に繋がる恐れもあります。なんとかならないものでしょうか。

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A

ご質問の内容は確かに常態化していることは事実ですが、以下のような方法により、状況の改善に努めているケースもありますので、是非参考にして下さい。

①例えば、あるファブリケータでは、工事開始時点で、設計監理者・ゼネコンと合同のキックオフミーティングを開催し、工程の確認、図面承認から製作段階に移行するホールドポイント(ファブが製作にとりかかって良い時期)等の確認・明確化などを行い、周知を徹底するように心がけています。但し、このような合同会議は1回では済まない場合も少なくないので、要領よく進めることが重要です。

(元来、現寸検査時が鉄骨製作に移るホールドポイントとして認識されていましたが、最近では現寸検査を行わないことが多く、それと共に、責任分界が不明確になっている場合が、多く見受けられます。)

②万が一、図面承認前に製作に着手せざるを得ない場合を想定して、「先行製作願い」等、先行製作着手についてのルールを、あらかじめ決めておくことも有効です。

「先行製作願い」に記載する必要項目としては、
・先行製作する理由
・先行して着手する部位(節、通り、工作図に赤線で囲う等して明示)
・着手する日付

などです。但し、このような対応は緊急避難的なものであり、安易に行うことは後々問題になることもあり得ますので、十分注意して下さい。あくまで緊急時に限定し、あまり先の工程には適用しないことが重要です。また、先行製作着手には、必ず設計監理者・施工管理者の承認印を得ることは必須です。もしも、承認印が得られない場合には、先行加工は行うべきではありません。

③工作図の図面承認が得られない理由を調べてみると、設計者(デザイナー)、建築主の意思決定の遅延に起因することが少なくありません。鉄骨工事に不慣れな建築主・デザイナーの場合、鉄骨製作工程についての理解が乏しく、どの時点を過ぎると設計変更が困難になる等についての認識が欠如している場合があります。従って、これらの調整役となる工事監理者の役割は特に重要です。場合によっては、積極的に工場検査等に建築主・デザイナーの同行をお願いする等、鉄骨工事の工程に関する理解を深めてもらう努力も必要です。

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