建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

10-3 工場認定制度の問題点は

 現在の認定制度は量による基準がないので、また,J,Rグレードは設計仕様におけるな指定が少ないために常に上位グレード志向が働き工場規模を拡大して行くとそれを維持するために単純に価格競争による営業に入りやすく業界の適正コストが維持されにくい要因にもなっていると思われます。また、品質と加工量が適正な工場選定ができるような認定制度にならないでしょうか。

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A

 現在の大臣認定制度は、2000(平成12)年に性能規定化で行われた建築基準法の改正に伴い、1973年以来建設省告示1103号「高度の品質を確保し得る作業方法の条件を定める件」に基づいて大臣認定として運用されてきた鉄骨製作工場認定制度(旧制度)を全面見直し、建設省告示第1464号「鉄骨造の継手又は仕口の構造方法」により、溶接部の性能を確保するための規定として定められました。

 また、この大臣認定制度は、建築基準法施行令第68条の25に基づくものです。
 嘗ての 鉄骨製作工場認定制度で問題となったのは、0.9掛け設計でした。溶接接合部の性能における0.9の意味合いを工学的にどう説明するかが課題でした。また、不景気が長く続いた時期に、首都圏からはるかに離れた地方の工場で、広い敷地に鉄骨部材が何もないという光景を幾つか見たこともありました。

 2000年の建築基準法改正は既に述べた様に性能規定化に基づいて法全体を見直したものでしたが、この認定制度の審査基準も大きく変わることとなりました。即ち、それまで絶対量で評価していた審査項目の工場敷地面積、建屋面積、鉄骨加工実績等ではなく、例えば管理技術者であれば一人いればよいというような評価をすることになり、鉄骨工事の品質を確保すべく機能しています。しかし、それでは、認定制度は完成したのかというと、質問のような問題にぶつかります。そして、幾つかの修正提案も出てきます。

 現行の審査基準で早急に変革を必要とする事項として、次のものが考えられます。

① 新規(昇格)の審査基準の更なる進化・発展を図る。 →生産能力を査定(管理技術者数、技能者数、社内諸基準の整備状況を審査)

② 更新の審査基準を別に作成 → 生産実績を評価する審査
 認定有効期間内の工事実績の内容を審査

③ 有効期間,中間審査などの検討

 これまでの経験からして、自主認定と大臣認定の違い、それに伴う国交省からの指導等、 認定制度の改革は容易なことではないとの覚悟が必要でしょう。

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